それでは皆様、お酒の用意を!

20代の折り返しに突入する二児の母が、感情任せにつらつら書くだけ。

お前は誰だ

お前達が大きくなったら、一緒にお酒が飲みたいなあ。

夜、借りてきたDVDを観ながらお酒を飲む父は、たびたび私達にそう言った。
一緒にお酒飲んで楽しいのかな?って思っていたけど、二人の息子が産まれてから、私も父と同じ事を思うようになった。

一緒にお酒飲んでみたかったな。


私の母は17で私を産んで、シングルマザーで、夜の女だった。
弟は4つ下の種違い。(種違いについては大きくなってから知った事だけど、やっぱりなあって気持ちの方が強い。面白いエピソードがあるから後々話したいな)


ちょっと訳アリにも見えるけど、私の地元ではまあ、おそらく普通にありふれた家族の形。
そしてこれから書く父については虐待があったとか性的な何かがあったとか、そういうのは一切ない。本当に何もない。今思えば、驚くくらい普通の親子だったと、私は、思っている。

先にも述べたように、母は夜の女で私達は小さい頃から夜間保育に預けられていた。
夜間保育は、はじめのころは泣いてばかりだったけど、友達も沢山できて、それなりに楽しんでいた所もある。

母がいつから夜に働きに出ていたのかは分からないけど、気がついたらそれが当たり前になっていた。
そして彼女は23の時に自分の店を構え、今も店は続いている。普通に凄い。



母が自分の店を開いてから数年、私達3人家族は小さな1Kのアパートから3DKの広い賃貸マンションへ引っ越した。私は小学3年生だった。
弟と二人で、お風呂とトイレが別々な事に喜んで、畳じゃないフローリングの床にはしゃぎ回った。建物自体は、母が産まれる前からあった古い建物だったけど、中は修繕されていて綺麗だった。

住みはじめてから暫くは、日曜に家具を探し回っていたと思う。
正直、住みはじめた頃の事はちゃんと覚えていない。


父の初登場は、私が小学4年生のときだ。

六畳の和室の部屋に布団を並べて、弟と二人で寝ていたある日、聞きなれないイビキの音で目が覚めた。
隣に誰かいる。
母じゃない、明らかに母よりデカい。
怖くなって、起き上がって、デカい図体を見た時「は?アイツか?」って思った。

アイツは、3歳だかその辺りに一緒に暮らしていた弟の父で、こいつに関しては嫌な思い出しかない。

それで、おそるおそる隣を確認したら、アイツではなくて全然知らない男がいた。

それが父だ。

やっと登場した。

登場したから一旦切る。